「レンジ相場では逆張りで仕掛け、
トレンド相場では順張りで仕掛けるEAです」
「朝の値動きの小さい時間帯ではスキャルピングを行い、
NY時間以降は損小利大のトレンドフォローを行うEAです」
文章だけ読むと、良さげなEAに思えますが、
個人的には疑問符が付きます。
なぜかというと、
“1つのEAの中に複数のロジックが含まれているから”
です。
EAに複数のロジックを入れるかどうかについては、
やってはいけないこと、間違ったこと
というわけではないですが、
複数のロジックを入れることで
各ロジックの成績が見えにくくなるデメリットがあります。
上記でいうならば、
逆張りで仕掛けるロジックのバックテスト、
及び、フォワードテストの成績と
順張りで仕掛けるロジックのバックテスト、
及び、フォワードテストの成績を
切り分けて判断できにくくなります。
同じく、
スキャルピングのロジックのバックテスト、
及び、フォワードテストの成績と、
トレンドフォローのロジックのバックテスト、
及び、フォワードテストの成績を
切り分けて判断できにくくなります。
取引回数を”かさ増し”している疑惑
1つのEAの中に
Aロジック、Bロジックという2つのロジックが入っていると、
Aロジックだけの成績、Bロジックだけの成績が分かりません。
もちろん、
Aロジックだけの成績、Bロジックだけの成績を
別途、公開していれば良いんですが、
こういう複数ロジックを内蔵しているEAに限って、
そこまで詳しく説明していないケースが多いですね。
また、穿った見方をすると、
AロジックとBロジックを併せることで
取引回数を”かさ増し“している可能性があります。
要するに、
「AロジックだけのEAだと取引回数が少ない。
BロジックだけのEAでも取引回数が少ない。
ならば、AロジックとBロジックを1つのEAにして
取引回数を多く見せよう」
という間違った思考ですね。
具体的には、
バックテストで検証してみたが、
Aロジックだけだと500回の取引回数だけで少ない、
Bロジックだけでも500回の取引回数だけで少ない。
そこで、
AロジックとBロジックを一緒にして
取引回数を1000回にまで増やしたようなEAです。
EAにとってバックテストでの取引回数は重要です。
当然ながら、取引回数が多いほど
信頼性が高く、再現性も高くなります。
極端な話、
Aロジックだけで1000回の取引回数があるEA
と
Aロジックだけで100回の取引回数+
Bロジックだけで100回の取引回数+
Cロジックだけで100回の取引回数+
Dロジックだけで100回の取引回数+
Eロジックだけで100回の取引回数+
Fロジックだけで100回の取引回数+
Gロジックだけで100回の取引回数+
Hロジックだけで100回の取引回数+
Iロジックだけで100回の取引回数+
Jロジックだけで100回の取引回数
これら全てを合計して取引回数を1000回にまで増やしたEAとでは
どちらが信頼性が高いでしょうか?
どちらが再現性が高いでしょうか?
どちらを使いたいでしょうか?
100回しか取引回数がないロジックを
いくらかき集めても意味がない、、、とまでは言いませんが、
取引回数が少ないロジック、つまり、
信頼性と再現性の低いロジックをいくらかき集めても
信頼性と再現性が増すわけではありません。
私の開発するEAは、
「1EA1ロジック」
にしています。
要するに、
“1つのEAの中には、1つのロジックしか含めない”
という方針です。
そして、バックテストは最低でも10年、
取引回数は最低でも1000回にしています。
どのくらいの取引回数なら合格なのか、
信頼できるのか、再現性があると言えるのか、については
決まった答えがあるわけではありません。
各EA開発者が自己の方針、信念などに基づき
自分で決めることです。
もしも、複数のロジックを内蔵しているEAを見つけたら
そのEAの開発者に各ロジックのバックテストを聞いてみましょう。
もしも、取引回数が少なかったら、、、
それ以前に、まともな返事が返ってこなかったら、、、
そのEAを使うのは止めておいたほうが良いでしょう。