巷にはいろんなEA(自動売買)が売られていますね。
会社で販売しているものだったり、
個人で販売しているものだったりといろいろありますが、
その販売ページには、必ずと言っていいほど
ストラテジーテスターによるバックテストの結果が掲載されています。
今となっては、MT4によるバックテストが
業界標準のスタンダードとなっていますので、
これを公開するのが当たり前であり、
逆に言うと、公開できない、公開していないEAだったら
信用しない方が良いでしょう。
で、この前もいろいろネット上で公開されている
EAのバックテストを見て回ったんですが、
私からすると、ちょっと
「???」
と思ってしまうバックテストが普通に公開されており、
そして、そのEAが普通に売られているんですね。
なので本当は、今回の記事で、
その「???」なEAのバックテストを転載して
「この部分はどうなんでしょうか??」
と指摘したかったんですが、
万が一でもクレームが来るのが嫌なので、
今回は自分で開発した自作EAのバックテストを掲載して
確認すべき重要な項目を解説しておきます。
まぁ、バックテストについては、
何が正解というものがあるわけではないので、
以下では、あくまでも私の個人的な見解だと思ってください。
Stragegy Tester Report(ストラテジーテスターレポート)の重要項目
MT4でEA(自動売買ソフト)のバックテストを行うと、
Stragegy Tester Report(ストラテジーテスターレポート)という
評価レポートが出力されます。
このレポート内容を確認すれば、
そのEAの特徴の大部分を把握できますが
今回は、その中でも特に重要な項目を解説します。
(個人的見解を含みます)
1.期間
バックテストの検証期間ですが、長ければ長いほど良いです。
私が開発する時には、約10年間分でテストしたいと思っています。
後に解説する[総取引数]とも関連しますが、
[総取引数]が多ければ、この期間は多少短くても良いでしょう。
2.モデリング品質
ここは90.00%が必須です。
バックテストに用いた大元のヒストリカルデータの信頼性が問われますし、
これより低い数値を信用していない人も多いです。
個人的には、90.00%を多少下回ったとしても
それでバックテストの結果が大きく変わる事がないと分かっていますが、
販売目的のEAなら、90.00%にしておいた方が無難でしょう。
3.不整合チャートエラー
ここは0になっていた方が良いでしょう。
各時間軸でローソク足の4本値の整合性が取れていないと
ここには0より大きい数値が入りますが、
やはりこの数字に関しても、2桁程度の数値なら
バックテストの結果に大きな違いはありません。
個人でバックテストし、個人で運用する分には、
2桁程度の数値が入っていても問題ないでしょうが、
販売目的のEAなら、0にしておいた方が無難でしょう。
4.スプレッド
ここの数値がバックテストの結果に大きく影響を与えるケースが多いです。
私の場合は、基本的には20、ポンド関連は30というように
余裕を持たせた数値を設定するようにしていますが、
中には、5とか1とかにしている人もいます。
ここの数値が小さいバックテストほど、
フォワードテストとの乖離が大きくなる傾向にありますので
注意しておかなければいけません。
5.プロフィットファクター
高い数値ほど良いですが、
高過ぎる数値は過剰最適化が懸念されます。
個人的にはここが2.00以上になっていたら、
逆に不審に思ってしまいます。
6.相対ドローダウン
低い数値ほど良いですが、
どこまでのドローダウンを許容するかは
各自の資金管理にもよります。
個人的には、20%以下にしてほしいと思います。
7.総取引数
サンプル数の少ないバックテストは信頼性が低くなります。
最低でも500回以上、個人的には1000回以上は欲しいなぁ、と思います。
先の[期間]項目でも少し話しましたが、
ここの[総取引数]が1000回を越えているのなら、
[期間]は多少短くても良いと思います。
8.勝率
[総取引数]とも関連しますが、
高過ぎる勝率は、負けトレードのサンプル数が少なくなってします。
低過ぎる勝率は、勝ちトレードのサンプル数が少なくなってします。
販売目的のEAでは、高勝率をウリにするために、
勝率を80%~90%にしているものが多いですが、
その結果、負けトレードのサンプル数が少なくなってしまい、
負けトレードを適切に評価できていないケースが多いです。
個人的には、勝率は40%台~60%台で収まる事が理想的だと思っています。
9.平均勝ちトレード
極端に勝ちトレードの利幅が狭いEAは注意が必要です。
仮に、平均10PIPSほどの利幅だった場合、
それはスキャルピング系のEAのはずで、
先の[スプレッド]項目との兼ね合いも考えると、
フォワードテストでは極端に成績が落ちてしまう危険性もあります。
また、ここの数値が低い事をごまかすために、
ロット数を大きくして利幅が大きいように見せかているケースもあります。
以上、Stragegy Tester Report(ストラテジーテスターレポート)を
どのように評価するか、個人的な見解も交えての解説でした。
有料で販売するのなら、
最低限このレベルはクリアーしてほしいと思っています。
他にも細かい部分で解説しておきたい事はあるのですが、
とりあえず、今回解説した項目に注意していれば、
少なくともバックテストの段階で、
粗悪なEAをつかまされる事は無いでしょう。
あとはフォワードテストですね。
数ヶ月単位でのフォワードテストの実績が掲載されていれば、
より信頼性が増していくでしょう。
フォワードテストの見解については、またの機会に解説します。