私はFX初心者だった頃、ナンピンで痛い目に合っているので、
今では、裁量トレードでもEA(自動売買)でも
ナンピンをする事はなくなりました。
あの”コツコツドカン“の精神的ストレスは二度と味わいたくないです。
しかし中には、私のように潔く手を引く事ができずに、
ナンピンを繰り返して高勝率を謳う手法やEAを
探し続けている人もいるでしょう。
ナンピンは高勝率なだけに中毒性があります。
意識的に積極的にナンピンを選んでいるのか、、、
それとも、
止めたいけど、どうしてもナンピンに手を出してしまうのか、、、
大事な資金が無くなる前に
今一度、自分のトレードスタイルを考え直してみましょう。
ナンピン型EAの危険性について
以下は、あるナンピン型EAのバックテストの結果です。
ネットで見つけてきたんですが、
グラフだけなら、どこのEAなのかは分からないでしょう。
青色ラインは口座残高で、緑色ラインは有効証拠金です。
有効証拠金とは、口座残高にその時のポジションの含み損益を加えた
実質的な口座残高の事で、こちらのラインの方が重要です。
つまり、仮に”その時”全てのポジションを手仕舞ったら、
口座に幾らの資金が残るのか、という事を表しています。
よって、青色ラインの下に緑色ラインが位置しているという事は、
“ポジションが含み損を抱えている状態”
という意味になります。
これらを踏まえて上記のグラフを改めて見てみると、
そのほとんどの期間で含み損を抱えている事になります。
また、青色ラインが定規で引いたような
まっすぐな右肩上がりになっているのも不自然です。
いわゆる、ナンピンを繰り返し、時には両建ても繰り返して、
僅かでもプラスになったポジションはその都度決済して
外見上の口座残高だけは増やし続け、
高勝率を維持しているEAだと想像できますね。
どうですか。
あなたはこのEAを使い続ける事ができますか?
含み損の毎日にストレスを感じないですか?
EA開発者の立場からすると、これは、
バックテストのためのバックテスト
です。
バックテストの段階で破産しないように
ただパラメーターを弄(いじく)っただけのバックテストです。
数字遊びをしているだけのバックテストです。
グラフの最後には、帳尻合わせのように
緑色ラインが急激に上昇して青色ラインと重なっていますが、
もしもこの時、上昇しなかったらどうするつもりだったんでしょうか?
再度、パラメーターを弄って
何とか帳尻合わせをしようと試みるんでしょうか?
いくらナンピンのポジション数を変えても、
いくらナンピンの間隔を変えても、
いくらナンピンのロット数を変えても、
それは過去相場で破綻しないようにしているだけで
リアル相場で通用するとは限りません。
もちろん、未来の事は分かりませんよ。
もしかしたらこのEAは、
今後10年20年と右肩上がりの青色ラインを形成し続ける聖杯と
なりえるEAなのかもしれません。
しかし、上記のような危険性をはらんでいる事を理解しておきましょう。
参考までに、
以下は上記とは違う別のナンピン型EAのフォワードテストの結果です。
赤色ラインは口座残高で、黄色ラインは有効証拠金ですが、
ラインの関係性は、先のバックテストと似ていますね。
しかし、、、
バックテストでは、右肩上がりのラインが維持されて終了しましたが、
フォワードテストでは、右肩上がりのラインが崩され、
最終的には一気に資金が減っています。。。
このEAは、運用開始から約3ヶ月で破綻、
資金が半分になってしまいました。
市販されているナンピン型EAをフォワードテストすると、
もしくは、リアルトレードで運用すると、
最終的にはこれと似たような結果になる可能性が高いです。
いつ破綻するのか、いつナンピンに耐えられない相場に出会うのかは
開発者でも分かりません。
1週間先なのか、1か月先なのか、1年先なのか、10年先なのか、、、
ナンピンに耐えられない相場に出会う直前に
EAの運用をストップできれば良いんですが、
そんな都合の良い相場観は誰も持ちえていません。
よって、上記のような複数の理由から
個人的にはナンピン型EAはお勧めしませんが、
それでもどうしても使いたいと仰るのでしたら止めはしません。
しかし、ナンピン型EAというのは資産運用ではなく
一か八かのギャンブルをしているという意識は忘れないでください。
負けたら資金が吹っ飛び、最悪破綻するんですからね。