EAというものは、どんなにバックテストの成績が良くても
それがそのままフォワードテストに引き継がれる事はほとんどありません。

多くのEAはバックテストの時よりも
フォワードテストの方が期待値は下がってしまいます。

まぁ、多少下がる程度なら良いんですが、
中には一方的に下がり続けるEAもあって、
バックテストとの成績の乖離に愕然とするケースもあります。

なので、バックテストの成績が良いからと言って、
いきなりリアルトレードから始めてしまうと、
痛い目に合う危険性もあるので、注意しなければいけません。

本来の流れとしては、
フォワードテストで右肩上がりの収益曲線を確認した後に
リアルトレードへ移行する事になります。

しかし、リアルトレードへ移行してからも
そのまま右肩上がりの収益曲線を描くとは限らず、
必ず「ドローダウン」と呼ばれる不調期に出くわします。

このドローダウン時の対処の仕方が
EA運用の成否を決めるといっても過言ではないほどの
重要なポイントとなります。

今回は、私が行っているドローダウン時の対処の仕方をまとめてみます。

EAの稼働停止、稼働再開のルール

まず前提として、
フォワードテストとリアルトレードは同時に稼働させますが、
フォワードテストはそのまま放ったらかしで稼働させ、
リアルトレードはフォワードテストを参考にしつつ、
稼働と停止を選択していきます。

EA運用のシステムトレーダーの中には、
自作のEA、もしくは、市販のEAに絶対の信頼を置いて
どれだけドローダウンが起きようとも
リアルトレードのEAを止めようとせずに
稼働し続ける人もいるようですが、
資金が無くなってしまっては意味がないですね。

私は市販のEAを信頼していないのはもちろん、
自作のEAですら絶対の信頼を置いているわけではありません。

必ず、バックテスト時よりも成績は下がると思っていますし、
必ず、バックテスト時のドローダウンよりも
大きなドローダウンに見舞われると思っています。

なので、ドローダウンが起こった時には
EAの稼働を停止するルールを決めています。

もちろん、稼働を停止した後には、
どのようになったら稼働を再開するのかのルールも決めています。

ドローダウン時の稼働停止のルール

  • バックテスト時の最大ドローダウンの2倍に到達したら稼働停止
  • バックテスト時の最大ドローダウンを越えて
    収支曲線の直近安値を割ってきたら稼働停止

このどちらかを採用します。

具体的に収益曲線を見てみます。

以下は自作EAの過去の収益曲線ですが(フォワードテスト)
このEAのバックテスト時の最大ドローダウンが10%だったとします。
fowardtest16121701

黒色矢印を起点としてドローダウンが起きていますので、
上記の稼働停止のルールを適用してみます。

・バックテスト時の最大ドローダウンの2倍に到達したら稼働停止

バックテスト時の最大ドローダウンが10%なので、
その2倍の20%に到達したら一旦稼働を停止します。

20%とは、上記では緑色矢印の箇所ですね。

ここまでドローダウンとなった時点で、
一旦リアルトレードは稼働停止とします。

・バックテスト時の最大ドローダウンを越えて
 収支曲線の直近安値を割ってきたら稼働停止

バックテスト時の最大ドローダウンが10%なので、
10%を越えてきたら収益曲線の波形に注目します。

上記では、青色丸の箇所となりますが、
収益曲線がN字を描きながら直近安値を割ってきている事が分かりますね。

そして、直近安値割れが確定した青色矢印の時点で
一旦リアルトレードは稼働停止とします。

このどちらかを採用します。

ちなみに、上記は最大ドローダウンを割合(%)で扱いましたが、
金額ベースで扱っても構いません。

ドローダウン後の稼働再開のルール

  • 最大ドローダウンの半値戻しを達成したら稼働再開
  • ドローダウン後に収益曲線の高値と安値が切り上がってきたら稼働再開

このどちらかを採用します。

具体的に収益曲線を見てみます。

以下は先と同じ自作EAの過去の収益曲線ですが、
その後の対処の仕方を見ていきます。
forwardtest16121702

結局このEAは、黒色矢印の値幅分だけドローダウンが起きて
その後回復に向かっていますので、
上記の稼働再開のルールを適用してみます。

・最大ドローダウンの半値戻しを達成したら稼働再開

黒色矢印の値幅の半値戻しは、
上記では紫色矢印の箇所ですね。

フォワードテストでここまで戻したことを確認した時点で
リアルトレードは再開します。

・ドローダウン後に収益曲線の高値と安値が切り上がってきたら稼働再開

オレンジ色四角枠が2ヶ所ありますが、
これらに注目してください。

収益曲線の高値と安値が共に切り上がっている事が確認できますが、
このような状態になったらオレンジ色矢印でリアルトレード再開となります。

ちなみに、最初のオレンジ色矢印でリアルトレードを再開したら
その直後に、再度直近安値を割っているので、
再びリアルトレードは一旦停止となります。

そして、2つ目のオレンジ色矢印でリアルトレードを再開した後は
本格的な回復に向かっています。

以上、ドローダウン時のEAの稼働停止、稼働再開のルールでした。

仮に、リアルトレードを再開したとしても、
その後、複数回ドローダウンを更新するようなら、
残念ながら、そのEAのロジックは通用しないものになったと
判断せざるを得ないでしょう。

もちろん、これは私のルールなので、
正解というわけではないですが、参考になる部分も多いと思います。

興味のある方は、自身のEA運用に取り入れてみてください。