FX初心者が参考書などで勉強して
おそらく最初の頃に覚えるであろう売買ルール
「ゴールデンクロスで買ってデッドクロスで売る」
移動平均線の基本的な使い方のひとつであり、
トレードに関する知識が少ないうちは、
「なるほど!」
と思って試したくなりますし、
実際にこれでトレードした経験がある人も多いのではないでしょうか。
しかし、当然のことながら、
この売買ルールで長期的に安定的に利益を残せる事はありません。
トレード歴が長くなるほど、経験的に直感的に
「ゴールデンクロスで買ってデッドクロスで売る」
は通用しないと理解できるのですが、
では、本当に通用しないのか、
実際にメタトレーダーでバックテストをしてみましょう。
以下は、USDJPYの5分足チャートに対して、
2つの移動平均線の期間をいろいろと変えて
5年間分のバックテストをした結果です。
損益が大きい順に並べ替えていますが、
損益がプラスになっている組み合わせはたったの2つだけで、
(MA1=70,MA2=140) (MA1=30,MA2=220)
しかも、最も大きいPF(プロフィットファクター)でさえ、
1.02しかありません。
これでは全く使い物になりませんね。
ちなみに、最も損益が大きかった
MA1=70,MA2=140の組合せでの5年間分の収益曲線は以下になります。
上下動が激し過ぎて安定しておらず、
この結果を見せられると
「ゴールデンクロスで買ってデッドクロスで売る」
でトレードしようとは思わないでしょう。
もちろん、他の通貨ペアでも、他の時間軸でも、
似たような結果になるので、
“単純な2つの移動平均線のクロスでの売買には優位性は無い”
と結論付けても良いでしょう。
自分のイメージしたゴールデンクロスとデッドクロスのみで売買
上記の結果は、プログラミング的に判断しているので、
どんなゴールデンクロスでも、どんなデッドクロスでも
売買タイミングになってしまいます。
例えば、以下のような明らかな持合相場でも、
2つの移動平均線がクロスしてしまえば、
そこで売買してしまいます。
また、以下のような明らかな急落相場で、
価格と移動平均線との乖離が大きくても、
2つの移動平均線がクロスしてしまえば、
そこで売買してしまいます。
これら全てに機械的にエントリーしてしまえば、
当然ながら、優位性は無いですよね。
私達が想定しているゴールデンクロス、デッドクロスのイメージは
以下のようなクロスではないでしょうか?
では、
このようなクロスだけを相手にするように、
このようなクロスだけにエントリーするように
プログラミングしてみたらどうでしょうか。
つまり、先に挙げたような
持合時のクロスや急騰急落時のクロスを除外するように
プログラミングするわけです。
そうすれば、何かしらの優位性が見えてくるかもしれませんね。
その結果が以下です。
これは、持合相場の除外、急騰急落相場の除外だけではなく、
その他にも自分なりのアイデアを盛り込んで
できるだけ自分がイメージしたクロスだけにエントリーするように
改良を加えた結果となります。
私は天才プログラマーではありません。
私より優秀なプログラマーは幾らでもいます。
私は誰も理解できないような難しい関数を駆使して
誰も理解できないような難しいロジックを駆使して
優位性を見出しているのではありません。
ただ、
自分のアイデアを分かりやすい関数で
分かりやすいロジックでコーディングしているだけです。
要するに、
優位性のあるアイデアが浮かぶかどうか、そして、
それを実現できる程度のプログラミングスキルを持っているか、
それだけです。
そして、
優位性のあるアイデアが浮かぶためには
裁量トレーダーとしての経験が必要になってきます。
たくさんチャートを見て、たくさん経験を積み重ねていくと、
ふとした瞬間にアイデアが閃いてきます。
その瞬間が嬉しくて楽しいんですね。