前回の個別記事の続きです。
分かりやすくするために
サンプル1とサンプル2を再掲します。
最初に開発したナンピン系EAがサンプル1ですが
上記のように、大きく落ち込んだ部分が3~4ヶ所ありました。
そしてサンプル2では、
その落ち込んだ箇所でエントリーしないように
プログラム内容を修正しました。
でも、、、
12年間もの長期にわたったバックテストでの
僅か3~4ヶ所の落ち込み場面でエントリーしないように
パラメーターを変える or フィルターをかける行為に、
優位性や意義があるでしょうか?
僅か3~4ヶ所を除く行為というのは、
特定のイレギュラー場面を省いているだけで
その行為自体には将来的な優位性はありません。
もしもこれらが100ヶ所くらい多数存在し、
期待値が低い場面となっていて、
それらをまとめて除く行為だったらやる価値はあるでしょう。
100ヶ所もあれば、確かにその場面は
確率的に、ルール的に、期待値が低いと分かります。
しかし、僅か3~4ヶ所では、
母数が少な過ぎて確率で論じることはできず、
本当に期待値が低い場面なのか分かりません。
僅か3~4ヶ所を省く行為は、単に、
自分にとって都合の悪い場面を
EAにとって都合の悪い場面を
意味無く削除しているだけです。
これらは最適化というより、パラメーター遊びと呼ぶべきで、
バックテストの見た目の印象を良くするために
体裁を整えているだけです。
(市販のナンピン系EAのほとんどはこうしたEAです)
一部のパラメーターを変更しただけで破綻
未来には過去には起こっていなかった条件のもとでの
下降トレンドが必ず発生します。
過去に起こった特定条件を省いただけのナンピン仕様のEAでは、
未来に起こるであろう特定条件での下降トレンドには対応できません。
つまり、いつかはドカンと負けます。
参考までに、
上記のサンプル2のEAのパラメーターの一部だけを変更すると、
以下のように豹変します。
サンプル3
サンプル2と全く同じロジックであるにも関わらず、
ストップの位置を少し変更しただけでも or
RSIの期間を少し変更しただけでも、
こんな風に簡単に破綻します。
自身でプログラムし、自身でバックテストを行い、
自身でエントリー箇所、決済箇所を確認したうえで、
改めて言いますが、
私ならこんなナンピン系EAは使いません。
でも、、、なぜかナンピン系EAって人気なんですよね。
なぜなんでしょう?
いまだに理由が分かりません。
そんなに高勝率が好きなんでしょうか?
自分だけはドカンと負けるはずがないと思っているんでしょうか?
未来永劫、通常のボラティリティが続くのなら
色々とナンピン系EAのデメリットを書きましたが、
仮に、暴落相場が起きなければ、そして、
未来永劫、通常のボラティリティが続くのなら、
上記サンプル2のEAでの収益は、
バックテストどおりの右肩上がりになるでしょう。
でも、そんなことはあり得ないですからね。
今年に入って以降は歴史的な低ボラティリティ相場ですので、
ナンピン系EAも有効に機能しているでしょう。
そして、ナンピン系EAを稼働している運用者も
コツコツ利益が上がっている口座を見て
気分良くなっているでしょう。
しかし、、、いつかは必ず、私たちの忘れた頃に、
暴落相場、超高ボラティリティ相場、セーリングクライマックス
などが起こります。
そして、そのような相場に出くわしてしまったら、
ナンピン系EAはこぞって破綻する可能性が高いです。
それまでの利益のほとんどが吹っ飛ぶかもしれません。
数年単位の “コツコツ” が全て無駄に終わるかもしれません。
事前に、暴落相場、超高ボラティリティ相場、
セーリングクライマックスを察知して、
ナンピン系EAを止めることができれば問題ないですが、
そこまでの相場観を持っているEA運用者は稀でしょう。
また、それまでの実績を考えて、
ナンピン系EAを止めるという判断をできるEA運用者も稀でしょう。
自分が稼働しているナンピン系EAだけは無事に立ち回るだろうと
根拠のない自信を持ってしまうEA運用者が多数のはずです。
キチンと負けてくれるEAならば、ナンピンも”有り”
今回、ナンピン系EAを作ってみて思ったんですが、
10回ものナンピンを繰り返し、
結果的にドカンと負けて破綻するのは論外ですが、
例えば、3~5回程度のナンピンに抑えて、
負ける時にはキチンと負けてくれるEAならば”有り”です。
確率論の立場から、必要とされるだけの負け数が
ちゃんと計上されたうえでのナンピン系EAならば、
私も受け入れる余地はあります。
(”キチンと負けてくれるEA” という表現は、
EA初心者の方は「???」かもしれませんが、
負けを認めないEAほどドカンと負けるんですよ)
市販されているナンピン系EAでは、
キチンと負けてくれるEAはほとんどありませんが、
やはりこのあたりは、購入者ウケを狙っているんでしょうね。
ならば、購入者ウケを狙う必要のない私が
キチンと負けてくれるナンピン系EAを開発してみましょうか。
今回は、興味本位、お遊び感覚での作成でしたが、
もうちょっと真剣に、3~5回程度のナンピンに抑えたうえで
コツコツ勝ってチョイドカン程度に負けるナンピン系EA
というのは面白そうです。
“ナンピン系EAを作ってみた~無意味なパラメーター遊び” への1件のフィードバック